ソフトマテリアルの試験

ピエゾ抵抗カンチレバー試験

MEMS（微小電気機械システム）センサーの一般的な検知原理の一つに、ピエゾ抵抗素子を検知部に組み込む方法があります。これは、検知部がひずむことでピエゾ抵抗素子の電気抵抗が変化する仕組みを利用したものです。

ここに示されている MEMS チップは、ディップペンナノリソグラフィシステムの効率を高めるため、6 つのカンチレバーが並行して描画できるように配列されています。カンチレバーアレイとサンプル基板の間の傾きを補正するため、各カンチレバーには、接触力を測定するピエゾ抵抗センサーが搭載されています。このピエゾ抵抗素子はイオン注入によって作製されており、わずかな抵抗変化を正確な電圧変化に変換するため、ホイートストンブリッジ回路がシステムに組み込まれています。

本事例では、各カンチレバーの剛性を自動で測定しています。アレイ内のカンチレバー間で剛性が均一であることは、MEMS チップの性能を決定する上で非常に重要な特性です。

マイクロファイバーの引張試験

マイクロファイバーは、複合材料や光ファイバーの強化、また軽量で丈夫な部品の製造に使われています。その機械的な挙動を理解するには、微小引張試験が最適な方法です。

今回の応用事例では、ローラーエレクトロスピニング法で作製したシリカマイクロファイバーを、微小引張試験で評価しました。ファイバーを徐々に引き伸ばして真っ直ぐにした後、さらに伸長させることで、最大伸長、最大降伏強度、剛性を測定しました。

また、応力緩和挙動や繰り返し試験も行い、シリカファイバーの耐久性や応用可能性に関する知見を得ることができました。

植物の根毛の液中微小試験

植物はどのように成長するのでしょうか？土壌中の根の成長メカニズムを理解するため、繊細な植物の根毛に微小引張試験を行い、引張強度や降伏強度などの特性を測定しました。

今回の応用事例では、根毛に荷重をかけた際、完全に破断するのではなく、部分的に破断してらせん状に変形することが明らかになりました。これらの観察結果は、植物の根毛の機械的および構造的な挙動について貴重な知見をもたらし、生物学、農業、材料科学分野に貢献する可能性があります。

In-Liquid Tensile Testing of Fibronectin Fibers

フィブロネクチン（Fn）ファイバーは、創傷治癒に不可欠なものであり、医学やヘルスケアにおいて重要な応用分野です。生体内に近い環境で in-situ 試験を実施することで、Fn ファイバーの機械的特性を臨床試験の前に研究室で明らかにすることができます。

本応用事例では、微細加工した PDMS 製のグリッド上に Fn ファイバーを広げ、PBS 緩衝液で再び水和させてから、微小引張試験を行いました。その結果、Fn ファイバーの折りたたみと展開のメカニズムが観察されました。この革新的なアプローチは、生物学と工学を融合させることで、生体材料の機能に関する知見をもたらし、ヘルスケアソリューションの進歩への道を開くものです。